アンガーマネジメントを実践しても、痛みを感じなくなるわけではない
アンガーマネジメントの実践を諦めてしまう人は、ここを勘違いしていないだろうか?
私は勘違いしていた。
アンガーマネジメントを実践すれば、痛みが消え去るのだと。
しかし、怒りのコントロールを極めた人でも、やはり痛いのではないだろうか。
セネカも言っている。
心が最初に受ける打撃を、理性によって逃れることはできない
賢人も、やっぱり最初の一撃は痛いのだ。
最初の一撃は痛いけれども、理性でコントロールして、怒らないようにしましょうよ、というのが、アンガーマネジメントではないだろうか。
怒りに対する最良の対処法は、遅延である。判断するために求め給え。怒りには、はじめに激しい突進があるが、待っているうちにやむ。
痛いけど、痛みは収まるから、ちょっと落ち着けと。
アンガーマネジメントを実践しても、痛みを感じなくなるわけではない。
アンガーマネジメントの実践を説くには、まずこのことを明示するべきではないだろうか。
結局痛いなら、アンガーマネジメントする意味がないと思うかもしれない。
だが、メリットはあると思う。
セネカ曰く、
復讐には膨大な時間がかかる。我々は皆、傷つけられている時間より長く怒っている
そうなのだ。
怒りをマネージメントしないと、最初の一撃だけで済まないのだ。
苦しみが続くのだ。
それに、痛みを感じなくなる、などと胡散臭いことを言われるより、よほど信用できる。
怒りの感情が生まれるメカニズムは知らないけど、傷つくことを言われたら痛みを感じるのは、生物学的にも当然の反応ではないか?
それなのに、「うちのセミナーを受ければ」「私の本を読めば」痛みを感じなくなるなどと言われたら、胡散臭さ極まりない。
セネカの「怒りについて」からは、聞こえのいいことを言って洗脳するのではなく、人間を、人間の理性を信じる、熱い情熱を感じられる。
さすがは2000年間読まれている著作である。